将棋Webでは、CPU対局のキャラクターやプレイヤーの強さを「10級」から「十段」までの段級位で表しています。この段級位は、内部的にはレーティング(Elo)という数値をもとに設計しています。この記事では、そのレーティングと段級位の対応、そして「アマチュアの段位」と「プロの段位」がまったく別物であることを整理します。あわせて、プロ棋士や奨励会の段級位が、アマチュア換算・Elo換算でだいたいどのあたりに位置するのかも、目安として示しておきます。
この記事のElo値は、将棋Webのゲーム内レーティングの設計値・目安です。日本将棋連盟の免状段位や、他のネット将棋サービスのレーティングとは別物で、直接は比較できません。特にプロ・奨励会の段位については、あくまで「アマの実力に置きかえるとどれくらいか」という大まかな目安として読んでください。
レーティング(Elo)とは
レーティングは、対局の勝ち負けから「その人の強さ」を数値で推定するしくみです。将棋Webでは、チェスなどで広く使われているElo方式を採用しています。基本的な考え方はシンプルで、強い相手に勝てば大きく上がり、格下に負ければ大きく下がる、という形で、対局を重ねるほど実力に見合った数値へ落ち着いていきます。
数値そのものには絶対的な意味はなく、差が意味を持ちます。目安として、レートが約200違うと、上の側がおよそ4分の3(勝率75%前後)勝つ関係になります。約400違うと、上の側がおよそ9割勝つ計算です。つまり「レートが100や200上の相手」はまだ十分に手が届く相手、「400以上離れた相手」ははっきり格上、という感覚になります。
将棋Webでの基準 —— 初段=1500
段級位とレートを対応づけるには、どこか一点を「アンカー(基準)」として固定する必要があります。将棋Webでは、初段=1500を基準に置きました。ここを起点に、級が一つ上がる・段が一つ上がるごとにレート帯を割り当てています。
各段級位のCPUの強さ(読みの深さ・持ち時間・悪手率など)は、10級から十段までのAI同士を先後を入れ替えて総当たりで戦わせ、その勝敗からElo方式で内部レートを計算し、下の表の帯に収まるように調整しています。
級位・段位とElo帯の対応
将棋Webの段級位と、対応するElo帯・代表値は次のとおりです。
| 棋力 | 推奨Elo帯 | 代表値 |
|---|---|---|
| 10級 | 900–949 | 925 |
| 9級 | 950–999 | 975 |
| 8級 | 1000–1049 | 1025 |
| 7級 | 1050–1099 | 1075 |
| 6級 | 1100–1149 | 1125 |
| 5級 | 1150–1199 | 1175 |
| 4級 | 1200–1249 | 1225 |
| 3級 | 1250–1299 | 1275 |
| 2級 | 1300–1374 | 1335 |
| 1級 | 1375–1449 | 1410 |
| 初段 | 1450–1599 | 1500 |
| 二段 | 1600–1749 | 1675 |
| 三段 | 1750–1899 | 1825 |
| 四段 | 1900–2049 | 1975 |
| 五段 | 2050–2199 | 2125 |
| 六段 | 2200–2399 | 2300 |
| 七段 | 2400–2599 | 2500 |
| 八段 | 2600–2799 | 2700 |
| 九段 | 2800–2999 | 2900 |
| 十段 | 3000+ | 3100 |
級位から段位に上がるあたり(1級→初段)は、レート帯の幅の取り方が変わる境目でもあり、体感的に強さが一段跳ねやすいところです。高段になるほど棋譜が似通いやすくなるため、CPU同士の測定では複数の初期局面や定跡のランダム化を混ぜて、実力差が正しく出るようにしています。
なお八段〜十段は、アマチュアの段位としてはかなり特殊な領域で、外部サービスにも対応するものが少ないため、将棋Webでは「ゲーム内の最強ランク」という位置づけの拡張として扱っています。
アマチュアの段位と、プロの段位は「別物」
将棋でややこしいのが、同じ「四段」でもアマチュアの四段とプロの四段はまったく別だという点です。
- アマ四段 —— 町道場や将棋連盟の免状、ネット将棋などで得られる段位。
- プロ四段 —— 奨励会の三段リーグを勝ち抜いて、正式に棋士(プロ)になった段位。
日本将棋連盟のFAQでも、アマとプロの段位は「違います」と明記されており、プロの入り口である奨励会の6級でも、アマの三〜四段クラスの実力があると説明されています。つまりプロ四段は、アマ四段よりはるかに上、ということです。
この整理からすると、将棋Webでいう三段・四段・五段は、あくまでアマチュア相当として考えるのが自然です。プロの三〜五段ではありません。誤解を避けたい場合は、画面表示を「アマ三段」「三段相当」のようにしておくと親切です。
プロ・奨励会の段級位は、アマ換算・Eloでどれくらい?
では、プロや奨励会の段級位は、アマチュアに置きかえるとどのあたりで、将棋Webのゲーム内Eloでいうとどれくらいなのか。目安を表にまとめます(Eloは前述のとおり「アマ初段=1500前後」のゲーム内基準に合わせた数値です)。
| 区分 | アマ換算の目安 | ゲーム内Elo目安 |
|---|---|---|
| 奨励会6級 | アマ三〜四段 | 1800–2050 |
| 奨励会5級 | アマ四段前後 | 1950–2150 |
| 奨励会4級 | アマ四〜五段 | 2050–2250 |
| 奨励会3級 | アマ五段前後 | 2150–2350 |
| 奨励会2級 | アマ五〜六段 | 2250–2450 |
| 奨励会1級 | アマ六段前後 | 2350–2550 |
| 奨励会初段 | アマ六〜七段 | 2450–2650 |
| 奨励会二段 | アマ七段・全国強豪級 | 2600–2800 |
| 奨励会三段 | アマトップ〜プロ目前 | 2750–3050 |
| プロ四段 | アマトップ超え | 2950–3250 |
| プロ五段 | プロ下位〜中堅 | 3000–3350 |
| プロ六段 | プロ中堅級 | 3050–3450 |
| プロ七段 | プロ強豪級 | 3150–3550 |
| プロ八段 | タイトル挑戦・A級級を含む | 3250–3650 |
| プロ九段 | 実績最上位(現棋力は個人差大) | 3300–3800+ |
ここで「プロの6級」とあるのは、正確には奨励会6級のことです。まだプロ棋士ではなく、プロ養成機関である奨励会の級位を指します。そこから昇級・昇段を重ね、奨励会三段リーグの上位に入って四段になると、はじめて正式な棋士(プロ)になります。
注意点 —— プロの段位は「現在の強さそのもの」ではない
この表を読むうえで大事な注意があります。プロ四段以降の段位は、純粋な現在の棋力(レート)ではありません。
日本将棋連盟の昇段規定では、五段以上の昇段はタイトル獲得、順位戦(クラス)、公式戦の勝数、竜王戦の成績など、さまざまな実績によって決まります。一度上がった段位は基本的に下がりません。そのため「九段だから、常に八段より強い」とは限らず、同じ段位でも現在の充実度には大きな個人差があります。上の表のElo帯を広めに取っているのも、この幅を反映しているためです。
まとめ
要点を整理すると、次のようになります。
- 将棋WebはElo方式のレーティングを使い、初段=1500を基準に段級位を割り当てている。
- レートは差が意味を持ち、約200差で勝率75%前後、約400差でほぼ9割の関係になる。
- アマの段位とプロの段位は別物で、プロ四段はアマ四段よりはるかに上。将棋Webの三〜五段はアマ相当。
- 奨励会6級でもアマ三〜四段クラス。プロ・奨励会の段位は、アマ換算・Eloでは上表のあたりが目安。
- ただしプロの段位は現在棋力そのものではなく、実績で決まる面があるため、幅を持って捉えるのがよい。
参照
- 日本将棋連盟「よくある質問 — 段級位について」 —— プロとアマの段位は「違います」、奨励会6級でもアマ三〜四段クラス、と明記。
- 日本将棋連盟「棋士 昇段規定」 —— タイトル・順位戦・勝数などによるプロの昇段の条件。
本記事のElo値は将棋Webのゲーム内レーティングの設計値・目安であり、公的な棋力証明や各種サービスのレーティングとは異なります。アマ換算・プロ換算はおおまかな目安として示したもので、実際の実力には個人差があります。